October 26, 2005
東京国際映画祭：『真昼ノ星空』観賞
今日、ワン・リーホン王力宏／鈴木京花 主演の『真昼ノ星空』を見に行った。
・真昼ノ星空紹介（東京国際映画祭公式サイト内）
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台湾マフィアで殺し屋のリャンソン（だっけ？王力宏）の、独り身の弁当屋の店員・ユキコ（だっけ？京花さん）への静かな恋心を、沖縄の穏やかな風景と共に淡々と描いた作品。
上映後に中川監督のティーチインがあったんだけど、映画を撮る際は脚本よりビジュアルが先行するそうだ。確かに台詞が少なく、印象的なシーンが多い。奇を衒ったものではなく、静かな日常を切り取ったような映像が続く。
映画はあえてキャラクターの背景の説明は必要最低限にし、含みを持たせた作りだったので、観客がそれぞれの解釈で感情移入して見る事ができる、と思う。
とりあえず、ティーチインで質問してみた。
リャンソンがユキコに自己紹介をするシーンがあるけれども、そこでリャンソンが自分の事を「中国人」と言う。
リャンソンは日本人の母と台湾人のハーフで台湾育ちということなのだが、台湾人は自分の事を『中国人です』というだろうか？ということを突っ込まれたことはないか？
台湾は「中国の一部（中国の地域）」とされているが、台湾はあくまで独立を主張。独立を断固反対する中国本土から台湾への政治的圧力があり、現在、中台関係はたいへん悪化している。
ナショナリズムやアイデンティティの問題になるのだけど、ネイティヴの台湾人は自分の事を『中国人』と名乗るだろうか。
ちなみに王力宏本人はＡＢＣ(America Born Chinese)で、１８歳まではＮＹに居て、今も家族はアメリカにいる。お婆ちゃんが台湾だそうだ。
リャンソンは日台ハーフ、王力宏本人もＡＢＣだから『台湾は中国ではない』というこだわりはないということなのだろうか。逆にすべてのネイティヴの台湾人が強固にこだわりを持っているのかもわからないけれど、突っ込まずにはいられなかった。
で、監督の解答は
脚本でも「中国人」というか「台湾人」というか何度も替わった。
リャンソンは普通の日本人の女性のナオコに台湾人というより、中国人と言った方がわかりやすいと思って言った、頭の回転の早い男、ということ。映画では政治的な意味合いはない。
とのことだった。
ふーん……。政治的な意味合いなんて受け取り方してなかった。頭の回転が早いとアイデンティティの問題は必ずしも噛み合ってるとは思わないけど。リャンソンにこだわりがなく、彼の判断ということならいいけど、侵略された事のない日本人（沖縄は除く）はとかくナショナリズムに疎いから「気にしてない」ってことだったらどうなのよ？と思ったけど、それならいいけど。
まー、その質問が２個目だったんだけども、物凄い怪訝な顔されたね！
こんな質問こないと思っていたんだろうけど、監督も、会場に居た人も、バカな質問してんな、と思ってるならそれでいい。もしかしたら知ったかぶってコノヤロウとでも思ってるかもしれない。
けど、エンターテイメントを通じてアジア圏との交流が盛んになってきた昨今、日本と諸アジア各国の関係や、各国の歴史などを知っておくことはとても重要なことだと思う。
過去の出来事をお互いよく理解した上で、新しい友好関係を築く方がよいと思う。少なくとも、私はそうしたい。『君は友達だけど、日本はキライ』じゃなくて、『君個人も日本も好き』といわれるように。
だからこそ、さらっと流さないでちゃんと考えたいと思う。
あ、映画。
いい映画でしたよ。来年５月公開決定。
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